FEATURE

Into the life of a woman TOP

Feature|2017.10.25

Into the life of a woman /
Naoko Tsuji

女性の人生に寄りそう服

「女性の人生に寄りそう服」をテーマとして、
輝く女性の方々に執筆いただく連載企画
第9回目は、スタイリスト 辻 直子さんの
ショートエッセイ第二弾をお届けします。

vol.09

ドレスアップは誰のため?

 これから、ドレスアップする機会が増えるシーズン。「衣装選びのポイントは?」「大人のドレスアップのルールは?」。仕事柄、そんな質問をよくされます。

 ドレスアップは、楽しいです。いつもよりも“特別なおしゃれ”ができるから。どんな雰囲気で、きっとこんな人たちが来て、そこにはあんな服が似合うかも…なんて、考えるだけでワクワクします。

 そもそも、毎日そんなことばかり考えているんです。例えば、映画に誘われた日。あそこの映画館は長いエスカレーターがあるから、バックスタイルがひらめくように長いスカートをはいていったら素敵かも、とか。今夜はカウンターでお寿司!なんて夜は、手元の仕草が絵になるようなジュエリーを選んでみよう、とか。自分自身のことを見ることはできないけれど、その場所に、そんな格好をしていた人がいたらおもしろいんじゃないかって、ついつい想像しちゃうんです。そして、それが最高に楽しかったりする。

 旅行にいくときなんかは、もっと大変です。このエッセイと同時進行で、ベトナム行きの旅支度をしています。旅先はいつも「行きたいホテル」で決定。あっちこっち観光するのもいいけれど、基本的にはホテルでのんびり過ごしたい派。
 朝食のとき、プールサイドで過ごすとき、部屋でのんびりするとき、ホテルの中をプラプラするとき、ディナーのとき。いろんなシーンを想定しながら、そこにフィットするだけじゃなく、そこにいておもしろいコーディネートを組んでいく。
 最近は仕事から帰ってから、毎夜のようにそんな作業をしています。早く寝ればいいのにと思いながらも、やめられない。まだ足りないものがあって、正直、今もソワソワしているくらい(笑)。当然ながら、荷物も多くなるし、帰ってからの荷解きも一苦労。でも、その瞬間しかできないファッションがあるなら、やっぱり思いっきり楽しみたい。結果そうすることで、その旅はよりおもしろく、色鮮やかな記憶として残されると思うから。

 何が言いたいのかというと、私にとっては「毎日がドレスアップ」ということ。

 フォーマルなシーンでは、ドレスアップにもルールがあります。でも、ドレスアップの大義は「行く場所、会う人を想う気持ち」だと思うんです。その気持ちがある前提で考えたコーディネートは、自然とルールをクリアできている。浮かない、体裁を整えるだけのファッションは、私にはできないんです。だって、こんなに創造的で、一目で伝わるような私らしさを表現できて、しかも無限大の楽しみを与えてくれるものって、他にはない気がするから。
 完全なる自己満なので、他人には強要しませんよ(笑)。でも、気づいてもらえたら幸せ。ちょっと前のある日、きれいめの格好をして街を歩いていたら、向こうからおしゃれなおばさまが歩いてきて、私の履いている靴を「素敵ね」と褒めてくれたんです。それはとってもお気に入りの靴で、その日のスタイルで一番“私らしいところ”。私も、そんな一言がかけられる人になりたいなって。

 ちなみに、もっとも自由なファッションをするときは、実家に帰るとき。昔から何度もびっくりさせているので、もう私のスタイルで驚くことはないんです(笑)。気を使わない、心から寛げる、大好きな家族への私なりのドレスアップです。

profile

辻直子 / Naoko Tsuji

『BAILA』『Marisol』や『Otona MUSE』など、多くの女性ファッション誌で活躍するスタイリスト。女優、タレントのスタイリングやファッションブランドのディレクションまで幅広く手がけている。フェミニンで品よく、女性らしいコーディネートは、多くの女性から高い支持を得ている。

    SHARE

Archive