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Feature|2017.04.21

Into the life of a woman /
SHIHO

女性の人生に寄り添う服

「女性の人生に寄り添う服」をテーマとして、
輝く女性の方々に執筆いただく連載企画
第3回目は、モデル SHIHOさんのショートエッセイ
掲載期間:4/21(金)~5/23(火)

vol.03

服には女性を変える力がある

 23年間、モデルという仕事を通して数えきれないほどの服を着てきた。
今、改めて思うのは、服が持つ力にはいつも驚かされる、ということ。それは気分だけでなく、体型や雰囲気、性格や女性像までも一瞬で変えてしまう。

 たとえば、撮影で着物を着た時。どちらかというと、私はせっかちで雑な性格にもかかわらず、着物を着ると、顎を少し下げ、背筋を伸ばして、静々と歩きたくなってしまう。自分の中に眠っていた”しとやかさ”や”たおやかさ”のような部分が着物によって引き出され、無意識に歩き方や所作が変わることに気づく。

 かつて日本人がふつうに着物を身につけていた時代は、3歩下がって夫の後ろを歩くような控えめな女性が多くいたのだろうと、その頃の女性の在り方にまで想像が膨らみ、そして納得してしまう。

 また20代前半の頃には、ハイブランドのスーツを着る機会をたくさんいただいた。仕立てがよいスーツはボディラインが美しく見えるが、やせ細った体では当然、服に着られてしまう。仕事上、服に着られてしまっていては格好がつかない。そんなときは背筋を伸ばし、胸を張り、体と気持ちで服を着こなす。その服を着た女性は、どんな生活をし、何を考え、どんな会話をするのか、と想像を膨らませながら。
 そうやって全く違う女性になりきることで、それに見合う女性像に自分が少し近づいた気がしてくるから不思議だ。実際にはそうでなくても、袖を通して服が持つ魅力を受け入れて合わせていけば、着慣れないブランドスーツも似合う女性に変われるのだ。

 長年、様々な服を着て、イメージを膨らませながら着こなす、という繰り返しのおかげで、ずいぶん女性として成長させてもらえたと思うし、改めて服の持つ力の偉大さに心から感謝している。

 そう考えると、なりたい女性像を手助けしてくれる服にたくさん出合うことが、新しい自分のスタイルを更新していく上ではかかせないことではないだろうか。

 最近はシンプルなスタイルが流行していて、着心地がよければなんでもいい、とさえ思ってしまう。シンプルで着心地いいのもので十分。でもちょっと待ってほしい。本当にそれでいいのか。シンプルで着やすいだけで……いや、違う。服には女性を変える力があるからこそ、大人の女性であるなら、一つのイメージにとどまらず、様々な着こなしや女性像を楽しみたい。よくTPOに合わせて、というが、まさに引き出しの多い女性は素敵だ。

 そして服を選ぶ際には、素材やディテール、シルエット、縫製を細かく気にしたい。さらに、着たときの気分をじっくり味わいたい。服は仕上がるまでにたくさんの人の手が加わり、作業の過程や想いが形となっているのだ。そこには必ず、作り手の目指す、理想の女性像が潜んでいるはずだから。それが、服が持つ本来の魅力だと思うし、そこを感じると服選びや着こなしはきっともっと楽しくなると思う。

profile

SHIHO

1976年生まれ。94年のデビュー以来、数多くの雑誌、CM広告、テレビ、ラジオ、出版など、多分野にわたって活躍。現在、ブランドradiance de SYHSÉのディレクターを務める。著書に『SHIHOトレ』『SHIHO's Beauty Theory』など多数。最新刊は『SELFCARE 今すぐ始められる40のアンチエイジング法』(幻冬舎刊)。

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